2011-11-16

The Mama's and The Papa's / If You Can Believe Your Eyes and Ears


ママズ&パパズ、1966年のデビューアルバムがSundazedからモノラル仕様でリイシュー。ただしダンヒルレコードはすべてのモノマスターを廃棄してしまっているらしく、今回はイギリスで発見されたサブマスターを使ったそうです。
実際の音の方は中域に厚みがあって暖かみがあるような印象なんですが、今まで聴き慣れたクリアで高域も出ているステレオミックスと比較すると、細かい音が埋もれてしまっている感じもします。ママズ&パパズの場合、ボーカルにかけられたエコーがやたらに深い、というせいもあるかも。これは好き嫌いが分かれるかもしれんね。まあ、'60年代ポップスなんてそもそもこんなもんだよ、と言えなくもない。

さて、ママズ&パパズといえばサンシャインポップのスタンダードみたいなもので。ソングライテイング、ハーモニーアレンジが卓越していた、ということは言うまでもない。キャス・エリオットとデニー・ドハーティの声の相性が良かったこともあるだろう(ただ、よく「四人全員がソロを取れる実力を」とか書いた文章を見かけるけど、フィリップス夫妻はシンガーとしては素人みたいなもんでしょう)。
重要なのは、商売の範囲とはいえジョン・フィリップスが自分なりのやり方で時代の空気に反応し、それを捉えようとしたということだ。勘違いしてしまいそうだが、彼らのデビュー時点ではまだフラワームーヴメントは顕在化していなかったのだな。
そして、"I Call Your Name"、"Do You Wanna Dance"、"Spanish Harlem" などの曲を軒並み、こんなもんだろとばかりに骨抜きにしたのは単に気の効いたアレンジということではない、既に30代に入っていた元フォーク野郎としてのジョン・フィリップスのアティテュード、その現われなのだと思う。

そうそう、今回のリイシューではジャケット右の便器が復活していますよ、どうでもいい事かも知れないけど。

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