2009-05-31

Linda Jones / The Greatest Hits


リンダ・ジョーンズというのは1963年から’72年まで活動したニュー・ジャージーのレディ・ソウル。このCD、タイトルはベスト盤のようであるけれど、1967年にリリースされたファーストアルバム「Hypnotized」全曲にシングルオンリーの9曲、未発表1曲を加えた'60年代音源集、であります。
しかし、アマゾンのレヴューでも書かれているのだけれど、このCDはクレジットされているのと実際に入っている曲順がまるっきり別になっていて、困るね。本来、アルバム・シングル・未発表の順に並べられているべきものが出鱈目になっているので、プログラミングするかCD-Rに焼きなおして聴かなくてはならないのだな。

制作がニュー・ジャージーのスウィート王、ジョージ・カーとあってバックの音は甘さを漂わせたものになっているのだが、このリンダ・ジョーンズというひとはゴスペル仕込みで、どの曲でも全力をぶつけてくるスタイルであって、特にスロウでは迫力満点ですね。曲によっては甘いバックにディープなボーカルの取り合わせがトゥーマッチな気もするのだが、うまくいっているときはボーカルの力強さが引き立っていて、やはりそのうちでも代表曲 "Hypnotized" は、ゴージャスなアレンジとディープさのバランスが魅力です。
とにかく張りがあって出し惜しみないボーカルが凄いのだけれど、アップでの乗りも上々。所謂ノーザンの曲はおおむねモータウンを意識したつくりでありますが、いずれも格好よく、"A Last Minute Miracle" という曲などは’60年代ポップス特有の非常に凝った展開ながら、決して軽くならないまま唄いこなしているのを聴くと単純に、上手いねえ、と。

とてもポップな音つくりなのですが、未発表まで全曲手抜きなしのソウルフルなボーカルなので、聴くひとは選ぶかも。濃ゆいです。

2009-05-29

waxpoetics JAPAN 04


僕が現在、唯一購読している雑誌なのだけれど、田舎住いの身とあって本屋にこの雑誌が置いていないので立ち読みができない、というのが理由だったりする。
実際、僕が興味があるのは古いソウルやジャズの記事なのであって、あと、アナログ盤についての文章は読み物として面白いかな。で、それだけだと全体の半分くらいのものである。1,200円払って、正直勿体無いとは思う。
ただ、この薄い本に細かい字でもって記事が詰め込まれているのを見ると、頑張ってるなあ、もうちょっと付き合ってみるか、という気もする。

さて、今号からアマゾンでの予約注文が可能になっていたので、今回は発売すぐで入手できた。
表紙・特集はリー・ペリー。
個人的な読みどころはジャボ・スタークスのインタビューと前号からの続きのワッツタックス。

まだ、全体にはざっとしか目を通していないのだけれど、印象深かったのはスノウボーイのコメント。
「ノーザン・ソウルはほぼ完全に白人だけの、レトロ趣味なムーヴメントだったんだ。つまり、ノーザン・ソウルが始まったのは70年代だったが、彼らは60年代の音楽で踊っていた。それは今も変わっていない。そして黒人の客は、全くと言っていいほどレトロな音楽には興味を持たなかった。彼らはリアルタイムの、新しい音楽で踊ることを好んだんだ」
漠然と知ってはいたことだけれど、改めて現場のひとの言葉で聞くと、ああやっぱり、と思うよね。

2009-05-25

Inflight Entertainment


小西康陽の書いた「マーシャル・マクルーハン広告代理店。ディスクガイド200枚。」は明日発売なのかな。レディメイドのウェブサイトに連載されていたのを見ていて、随分とアダルトというか落ち着いた趣味だよなあ、という感じがして、正直、今の自分には参考にはならないか、とも思ったが。まあ、小西氏も50歳くらいになるので、プライヴェートで聴くものとしては年齢相応のセレクションなのだろうな。これが10年以上前に企画されていたならもっとキャッチーな、いかにもネタ満載、といったレコードが取り上げられていたのだろうか。

「Inflight Entertainment」は1996年に、ロンドンのDJであるカーミンスキー兄弟が編集したラウンジミュージックのコンピレーション。ブックレットにはスペシャルサンクスか何かだろう “Pizzicato Five” の名前も。

90年代半ばにレトロ=フューチャー、なんて視点でイージーリスニングやラウンジ、モンド系の音楽がちょっとしたブームになっていた頃(エレベーターミュージック、なんて呼び名もあったね)、当時は外資系のレコード屋に凄く勢いがあったのだけれど、店の結構目立つ位置でこの「Inflight ~」や「Sound Gallery」、「Re-Search」なんていうコンピ盤が幅を利かせていたのを思い出す。

で、この「Inflight ~」なのだけれど、久しぶりに聴いたんだが2009年の今も全然古くないです、さすが。勿論、そんなシリアスに聞き込んでいるわけではないですが、歌物とインストが混在しているのに、まったく違和感なしに気持ちよく流していられる。どことなくユーモラスな曲が多い、というのもいい。うっかりと、架空のヨーロッパの豊かさ、なんてものを夢想させられたりするほど。でもって、どの曲もリズムがはっきりしているのがDJ仕様、ということなのでしょうか。

コンピレーション盤を聴く、という行為には未知のミュージシャンとの出会いを求める、という側面もあるよね。気に入った曲があったら、その作者のものを他に色々と漁ってみるという。けれども、僕個人としてイージーリスニングの場合だと、そこまではいかないかな。ポール・モーリア単独のアルバムを聴いてみたいと思わないし。僕も50歳になったら、また趣味が変わってるかもしれないけれど(あるいは64歳になったら)。

そういえば、小西康陽によれば「レイ・コニフには100曲に1曲、いい曲がある」らしい。

凄い話だ。レアグルーヴの陰には膨大なハズレが存在する。まさしく修羅の道である。

2009-05-23

Spanky & Our Gang / The Complete Mercury Recordings


米Hip-o Select より2005年に出たスパンキー&アワー・ギャングの4枚組セット。
3枚のスタジオアルバムにグレイテスト・ヒッツ、ライブ盤の公式アルバムに加え、未発表曲やモノ・シングル・ミックスを収録した、現時点でこれ以上はないものです。

スパギャンのデビューアルバム「Spanky and Our Gang」は1967年リリース。トップテンシングルである "Sunday Will Never Be The Same" を収録。プロデュースはジェリー・ロス。この頃は4人組だった彼らの、リードボーカル+クロースハーモニーのスタイル、もしくは「パパパパ」コーラスが楽しめ、全体に明快でハッピーなポップソング集に仕上がっております。スパギャンというとスパンキー・マクファーレンの存在だけがクロースアップされますが、温かみある男声ボーカルも素晴らしい。"Distance" という曲など哀愁溢れるいい仕上がりであります。
このアルバム、あえて欠点を挙げるなら、男性コーラスが中低音に集まっているためか、オーケストラが入っている曲になるとべったりと厚く、抜けが悪いような瞬間があり、今聴くと少し時代を感じる、ということかしら。
そんな中、収録曲のうち2曲のアレンジを担当したボブ・ドロウとスチュワート・シャーフの仕事が光っています。カラフルで過不足なく配された演奏にコーラスの生き生きとした表情が映える、風通しのいいサウンドです。

そのせいかどうか、セカンドアルバム「Like To Get To Know You」(1968年リリース)からはプロデュースをドロウとシャーフが担当しています。ハッピーなだけでなく陰影に富み、ジャジーな面も見られるようになり、音楽的な幅が増したように思えます。アルバム全体としての流れも意識され、細部に凝られたつくりに。
また、スパギャン自体もメンバーが6人と増え、コーラスの音域は広がり、より美しく複雑な絡みが展開されるようになります。
一枚目と比べサウンドがシャープになり洗練の度が増したようで、サンシャインポップの傑作といって間違いないでしょうね、このアルバムは。そして、いい曲、アイディアがずらりと揃っています。ベストトラックはマーゴ・ガーヤンの書いた "Sunday Morning" かスチュワート・シャーフによるタイトル曲あたりが幻想的かつきらびやかで、唸ってしまう完成度でありますが、その他にもフレッド・ニール作の "Echoes (Everybody Talkin’)" のアレンジなど、ちょっと思いつかないんじゃないか、という感じで。

翌年にリリースされた3枚目の「Anything You Choose b/w Without Rhyme Or Reason」も前作の流れを汲みながら、さらにドラマチックでスケールの大きな音像になっていて、けれども大仰になりすぎてはいないのが、さすがドロウ&シャーフのセンス、といったところでしょうか。プロデュースだけでなく収録曲もこの2人の手によるものが半数を占めているのに注目。
また、タイトルがまるでシングル盤のようですが、このアルバムはそれぞれの収録曲間がシームレスに繋がっており、アナログ盤でのそれぞれの面が大きな一曲である、ということを示しているのでしょう。ちなみにアナログではそれぞれの面がサイドAとサイド1になっていて、いわば両A面であったようで、このCDセットではサイドAの "Anything You Choose" から始まっていますが、単独でこのアルバムがCD化されたときはサイド1の "Leopard Skin Phones" が一曲目になっていました。
全体にリズムが前に出てロック的なエッジを強めつつ、トータルアルバムとして精巧に組み立てられた面もあり、堂々たるポップアルバムとして前作と甲乙付けがたい出来だと思います。


2009-05-18

Jay & The Techniques / Baby Make Your Own Sweet Music


本日到着したCD、英rpmによるジェイ&ザ・テクニクスの編集盤です。
1960年代後半、彼らはアルバムを2枚出していたらしいが、CDとしてはもう10年以上前かな、ファーストとベストが1枚出たきりだったはず。
僕は前のベスト盤も持っているのだけれど、そっちは20曲入りで今はちょっと手に入れにくくなってるんじゃないかな。今回のCDは28曲入りとなってます。

このCDの裏側には「フィリー・ソウルとモータウン・ビートのブレンド」なんて書かれていますが、早い話がバブルガム・ソウル。フォー・トップスあたりをベースにしながら、もっと垢抜けたような軽快な感じで、ノーザン・ソウルとして聴ける曲も無いではない、といったところ。
むしろ、ここ日本では彼らの存在はソフトロック関連で取り上げられて、広く知られるようになったのでは。

ジェイ&ザ・テクニクスのレコードの制作はボビー・ヘブやスパンキー&アワ・ギャングの仕事で知られる、ジェリー・ロスが手掛けていました。ロスの持ち味はソウル風味のポップス、あるいはシュガー・コーティングされたノーザン、といったところでしょうか。プロデューサーとしてはケニー・ギャンブル&リオン・ハフの師匠のような存在だったそうで、そう知るとなるほど、彼の関わった曲は今聞いても洒落たセンスが感じられるかな。
"Hurtin' Myself" という曲なんか、後のスタカンの有名曲を思わせますよ。

黒人が歌ってると思わずに、ブルー・アイド・ソウルと思い込んで聴けば凄くいい出来栄えなんだよねえ。

2009-05-17

はじめに。

Googleリーダーをいじってみたついでに、 勢いで作ってみた。

ミクシイは写真のサイズが限られてるしね。
デジカメちゃんにも、ちょっとは活躍の場を与えてあげたい。

どうでもいいことを文章短めで書きなぐっていく予定。