2015-03-30

青崎有吾「体育館の殺人」


三年前の鮎川哲也賞作品。文庫化に際して大幅に改稿されているそうであります。

密室殺人とフーダニット、いっそ潔いくらいにそれだけですな。
キャラクターはペラペラですけど展開はテンポ良く、読みやすい。探偵役はもったいぶることなく、気前良く推理を開陳し続けてくれるのでだれ場もない。
アニメどうこうはヴァン・ダインのペダントリーみたいなもんでしょ。古びてもかまわないし、逆に数十年後にはいい味になっているのではないか。

個人的にフェアプレイの謎解きにはどうしたって、点が甘くなってしまうのだが。
論理の飛躍に補助線が欠けているところがあって、ちょっと気になった。思いつき→調査→裏付け現る、という展開はご都合主義のような印象を受けてしまう。この手順を変えると探偵役の設定にうまく嵌らないのだろうか。
また、余詰めをどの程度やるか、というのも難しいところ。あっさり流せば細かい推理をしている部分との落差が目立つし、逆にあまりねちっこくやると流れが悪くなってしまう。結構、名の通っている作家でもここら辺りがうまくいっていないことがあるのだけれど、仮にも「平成のエラリー・クイーン」なら(本人が自ら名乗っているわけではないのだろうが)スマートに処理してほしいところ。

抜群に冴えた手掛かりを起点に、どんどんと転がっていくロジックが生み出すスリルと、その先に見えてくる意外な光景。あれですよ、論理のアクロバットってやつ。とりあえずそれがあれば充分だ。
凄く面白かった。ああ、氷川透が帰ってこないかな。

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